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雑記館

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変わり者が綴る備忘録。

ワシントンリポート・キッシンジャー博士2006年の予測~中国はどうなる

先ほど、今年最初の「日高義樹のワシントンリポート」が放映されました。内容は、毎年恒例の米国元国務長官キッシンジャー博士との対談・2006年キッシンジャー博士10の予測。まずはインタビューをまとめてみます。
(画像は流れて、とんでもないとこに繋がってたんで削除しました。)

第一部
・2006年、人民元が切り上げられなかったら驚きだ
・中国は国内的な理由から経済の拡大を止められない
・中国は向こう5年から10年は
 通貨政策でアメリカと対決しようとは思わない

第二部
・「金儲けは許すから政治に口を出すな」という仕組みが
 いつまでも続くはずがない
・2006年は当面、共産党の支配が続く
・中国各地を見て回ったが
 人民解放軍幹部と共産党首脳はうまくやっている
・短期間で民主主義体制になるのは難しいが
 選挙は行われるだろう

第三部
・中国は敵に囲まれていると考えている
・オリンピックのために台湾の独立を見過ごすとは
 考えない方が良い
・2006年、中国の台湾侵攻はあり得ない

第四部
・選挙が3つうまくいったので
 アメリカのイラク政策は成功したと考えて良い
・誰もイラクに永久に駐留したいとは思わない
 しかし混乱は望まない
・イラクで内戦が起きればサウジアラビアも巻き込まれる
・石油は現代の最も重要な問題である
 日本、中国、インドを含めて
 大消費国が衝突を避ける話し合いをしなければならない

第五部
・北朝鮮に核兵器の開発をやめさせる為
 軍事行動も考えている
・中国はキム・ジョンイル政権を残したいと考えている
 アメリカとしては認め難い
・話し合いがいつまでも続く事はない
・中国は日本が核装備する事を怖がっている

2006年キッシンジャー博士10の予測
1.人民元は切り上げられる
2.ドルは強いだろう
3.アメリカの好景気は続く
4.中国経済は9%までは拡大する
5.日本経済は画期的な拡大期にはいる
6.キム・ジョンイル追放は難しいが彼に対する圧力は強まる
7.ブッシュ大統領の支持率は高まる
8.イラクでは新政府と憲法ができて情勢は目覚しい発展を見せる 9.米中関係は難しいが改善に向けて双方が努力する
10.日本と北東アジアの国々の関係は良くなるだろう


とまあ、こんなものだ。まず番組を見て思ったことは、相変わらずキッシンジャー博士が親中派であること、(それに付随して)中国を取り巻く情勢を楽観視していること、である。また、まあこの番組はいつもそうなのだが、番組中では本音を語らず質問をかわし明言を避けた。

中国情勢は、少なくとも人々が考えるような中国の脅威は無い、として楽観論を展開した。しかし、もともと親中派であるキッシンジャー博士が日高氏の中国分裂の可能性についての質問を明確に否定しなかったことは裏読みを第一とするこの番組では興味深いことである。人民元切り上げに関しては「切り上げられなかったら驚き」としてその可能性は高いとした。

イラク情勢に関してはブッシュ大統領と同じくイラク政策は成功しつつあると述べた。そして、問題の駐イ米軍撤退の可否に関して「誰も永久にイラクに駐留したいとは思わない」とした。徐々に新政府への移行が進み、選挙も乗り越えたイラクに長く駐留することは無用であるが、現在の状況では脆弱な新政府と武装勢力の内戦が発生し、それがサウジアラビアに波及することによって湾岸諸地域が緊張、石油生産に悪影響をもたらすのでまだ完全に撤退するわけには行かないと言ったところだろうか。

北朝鮮問題に対しては、従来の米国の立場同様、六カ国協議などを通じて解決を目指すとした。キッシンジャー博士は六カ国協議の進展は期待できるもので、この問題に関する日米中の利害は一致している、とした。これに関し、日高氏は「北朝鮮は北京の操り人形」など強硬発言を繰り返し、博士の立場との違いを鮮明にした。…日高さん、中韓絡みになると声が強くなるような…(笑)
博士曰く、中国は歴史的経験にも基づいて朝鮮半島国境地帯に主兵力を置くことを嫌っているとのこと。さらに、北朝鮮が核武装すれば続いて韓国も核武装し(事実、昨年核開発が発覚しましたね)、それを見た日本が対抗上核武装すると中国は考えており、中国が一番恐れているのは日本が核武装することだという。とうの日本人からみれば「なんだって?」と言ってしまう様な考えだが。そのような考えがあるからこそ、中国は北朝鮮の核武装については反対であると論じた。しかし、中国は北朝鮮のキム・ジョンイル体制の存続も望んでおり、その点は米国と立場を立場を異とするものであるとも。

10の予測に関しては…特に10番目。これどうよ。

今日の放送は副題の「中国はどうなる」を軸として展開されたが、ブッシュ政権にかなり近い位置にいるキッシンジャー博士の考えが基本的には2006年の動きを楽観的にとらえていることが明らかとなった。
キッシンジャー博士が親中派であることは有名であるが、自分は番組を見て、米国の親中派(に限ったことではないが)はアメリカの国益のために中国を利用しようとして中国に接近するのに対し、日本の親中派は日本の国益とは違う中国の国益のみを目指しているような印象を持った。これは自分の色眼鏡のせいかもしれないが。

さて、2006年はどうなるのか。キッシンジャー博士の予測の行方は?非常に、楽しみである。長文、失礼仕った。
by admiral-fukuchan | 2006-01-08 18:50 | 歴史・国内外情勢

by admiral-fukuchan